宮古島から橋を渡ったら、そこはカリブだった。

 

 

うちなー的沖縄

宮古島から橋を渡ったら、そこはカリブだった。

ひさびさに宮古島へ行った。目的は映画と豆腐。

映画とはいっても、わざわざ那覇から宮古の映画館まで足を運んだわけではない。映画のロケである。日活の「きみのためにできること」(篠原哲夫監督)へ立ち会ってきた。映画の中で、沖縄の祭祀に関する音源が必要だという事で、そのテープを携えての参加だった。そのテープを銀幕の中で扱う役どころが岩城滉一。ところで日活と聞いて、赤木圭一郎や石原裕次郎、小林旭を思い出す世代と、日活ロマンポルノを想起する世代がある。ボクなどは前者なのだが、ロケはポストロマンポルノの第三期日活映画だった。

映画はそれくらいにして、話は豆腐に移る。

沖縄豆腐に凝っている。日本豆腐と沖縄豆腐の根本的、かつ決定的な違いは冷たいか熱いかだけ。宮古島にはけっこう手作りの豆腐があるという事で、豆腐屋を回っていた。どこかのコーヒーメーカーではないが、豆腐屋の朝は早い。そこであるA豆腐屋でのおばぁとの会話。

作ったら、どこで売るのですか。

「市場にが持って行くべきであるサ」

次にB豆腐屋でのおばぁとの会話。

やはり、にがりは海水を使うのですか。

「そうよ、うちは昔から。うちは海には行かないが、あれ(ご主人のこと)が汲みにが行く。不思議にも満潮と干潮でも海水の味は違うそうですよ」

そこへ海水を汲み終えた戻ってきたご主人に聞いてみた。干潮で味が違うって本当ですか。

「違うはずないさ、同じ!」

沖縄内にあっては、宮古の「標準語」は独特のスピリッツとイントネーションがある。いっけん、ぶっきらぼうでとっつきにくい気がするが、なかなかに味のある話を聞かせてくれる。

最近は宮古でも大手の豆腐屋が出現してきているが、それでもけっこう隣近所を対象としたほそぼそ豆腐屋が頑張っているみたい。ということで、宮古島周辺の島々はどうなっているのか池間島と来間島に行ってみた。

池間島にも来間島にも、いまでは立派な橋が架けられたが、それ以前は堂々の立派な島であった。そこでまずは豆腐について訊ねてみたところ、案の定というか豆腐が消えていた。そうかぁ、橋が架かると島の豆腐屋が消えるわけね。渡し舟が惜しまれつつ消えていくのと同じなのね。渡し舟だと、必ずといっていいほど、「最後の渡し、長い間お疲れさまでした」的なニュースになるが、ところが我が豆腐はそうはならない。