ちゃんぷるー

 

伝統的宮廷料理のおもてなし2

 

また、正月料理に関しても本土のお節料理のように特に決まったものはなく地域によって献立は様々。一般的には、大晦日にソーキ汁を作り(昔は年末年始に豚を一頭殺したが、最近はほとんどみられない)年越しをし、正月には縁起の良い料理や豚肉料理を中心に東道盆(トゥンダーブン)や重箱、大皿などに出して盛りつけて出している。

東道盆(トゥンダーブン)の優雅な盛りつけ

東道盆(トゥンダーブン)は、もとは中国から伝わったと言われ、琉球漆器の精緻な技巧が施され豪華な前菜入れで、その優雅さは琉球王朝時代の華やかさが偲ばれる逸品である。中にはいる料理は、色や形の美しいもの、冷めても味の変わらないものなどがととのえられ、代表的なものに、身の厚いクブシミ(甲いか)の切り身にいろいろな切込みを入れて、花のように赤く染めた「花いか」や、豚ロースに黒胡麻だれをまぶして蒸した「ミヌダル」(黒肉とも呼ばれている)、豚ロースの薄切りでごぼうを巻き込み、じっくり煮込んだ「豚肉ごぼう巻き」からし菜のしぼり汁で色と香りをつけた緑色のかまぼこ「からし菜入りかまぼこ」、卵を多く入れた厚衣で揚げた「魚のてんぷら」、子孫繁栄を意味するめでたい食べ物として有名な、沖縄特産の田芋をから揚げにし、佐藤醤油でくぐらせた「田芋のから揚げ」などがあり、料理の種類は5品、7品、9品など、奇数と決まっている。これは東道盆(トゥンダーブン)に限らず、沖縄では料理の決まりごととなっている。

正月など、祝料理に使う食材は、豚肉を中心に、芋料理は子孫繁栄を、、昆布天ぷら、かまぼこは喜びを表すというように、それぞれめでたい時に食べる料理としての意味があり、行事の多い沖縄の家庭では、これらは代々受け継がれている。

※東道盆(トゥンダーブン)

中に奇数な区切りのある豪華な前菜入れ。琉球漆器の代表的なもので、ちゅごくから渡った食料の一種。中国語で「東」は主人を意味し、「東道」はお客様に対する主人役を意味することから、お客様を接待する時にごちそうを盛る盆のこと。現代は、正月料理を盛る器、豪華なおもてなしに使う器として定評がある。