那覇市公設市場は、ゴルゴ13風オバサンだらけ。ー2

 

うちなー的沖縄

那覇市公設市場は、ゴルゴ13風オバサンだらけ。ー2

やがて別の候補者がやってくる。その次の候補者もやってくる。その次の次もやってくる。市場のおばさんたちは実に民主的である。誰分け隔てなく一斗缶をガンガン。候補者を差別も区別もしないというのはすごいことだ。こちらあたりは見事な商売人だと思う。話が少しそれた。土井たか子の話であった。彼女がやはり市場に入ったときのこと。例の如く、市場のおばさんたちは鳴り物入りで迎えたのだが、そこからが少し違っていた。衆議院議長であるから、屈強な私服警官のSPが周囲を取り巻いている。ニッポンの警察もこのSPの配置には随分と気を使っているようにみえる。ミスター・ポマードと呼ばれ、顔のアブラギッシュさとは裏腹に経済政策にやや慎重気味だった政治家は、身長面でも小柄だったが、それに合わすようにSPも小柄系屈強で固めていた。そこへいくと土井たか子は大柄であり、SPもそれに合わすように大柄系屈強となってくる。ということは単なるミーハーでは近寄れない。ところが、有名人に近づいてみたい、できたら触るか握手の一つもと考える市場のおばさんのパワーは、蟻一匹這い出る隙間もない厳重な警備陣をいとも簡単に突破したらしいのだ。

何しろ魚、肉が商品の市場であるから、当然のように切れ味鋭い包丁などがある。警備陣からすればこれほど危険な場所はない。ゴルゴ13クラスだったら、逆に見分けやすいのだろうが、普通のおばさんというのは見極めがどうにも難しそうだ。

プロレス少年は突進することで目的を成就する。おばさんたちも突進することで目的を達成する。世界に誇るニッポン警察だったが、結果は完敗であった。おばさんたちはスルスルと世界の中田選手が送るスルーパス状態を受けて、土井ゴール前に殺到した。そして、恐怖の撫でまわしをはじめたという。頬を両手で撫でまわし、「あいーっ、ちゅらかーぎー」とか、無遠慮にさすりながら「はっさ、ツルツル肌だねー」とかなんとか。それはほとんど、沖縄の宝塚とも称され、沖縄芝居のアイドルを生み続けた「乙女劇団」の芝居の鑑賞状態であったという。乙女劇団は歌劇が多かったが、沖縄女性は過激が多いのかもしれない。