うちなー的沖縄
ガイドブックに載らない沖縄式結婚披露宴芸-2
これだけ数がいれば、なにも恐いものはない。逆に余興の選択で悩んだことだろう。その点、ボクの結婚披露宴はシンプルそのものであった。沖縄では珍しいことなのだが、まず親戚が極端に少ない。友人たちをかき集めてとも考えたが、少ないなりのやり方で披露宴を乗り切った。上原直彦さんと大工哲弘さん。2人ともおおいに唄っていただいたが、それでも余興が足りない。なにしろボクの側と女房の側を合わせても二十数人という人数である。余興が圧倒的に不足していた
彼女も唄ったがボクは踊って唄って、そして再び踊った。親戚も、彼女の親父もみんなで次々と小さな舞台に立った。2人で唄ったのは「二見情話」で、踊ったのは「くばぬ葉ユンタ」と「一人ジュリ馬」という踊りだった。
同僚でもあり友人でもあるT・Kという人物がいる。この男、とにかく凄い。沖縄的ビーチパリー(原音を忠実に表記するとこうなる)のプロであり、寿司を握らせたらお手も物で、舞台つくりもプロ並みときており、ようするに遊ばすと他を寄せ付けないほど輝いている。器用そのものなのだが、もっとも得意とするのは結婚披露宴における余興が凝っている。彼との付き合いは長く、その分だけ恥ずかしいことも含めていろいろとさせられたことがある。「藤娘」「白鳥の湖」
「ジュリ馬」などをこなすから和洋プラス舞踊すべてを得意としている。彼は、とにかく当日の2か月くらい前からプランを練る。けっして同じ出し物はやらない。プライドが許さないのだ。本番前の1か月くらいが彼の思考期間で、残り1か月が出演者の練習期間ということになる。
同じ職場の友人が結婚をした。晩婚でもあったが、その友人は我々に余興をさせなかった。日頃からダンディーで通している男であり、おそらくは下品な余興を警戒していたのであろう。舞台で演じられているのは、バロックの演奏であったりして、我々はただただポカーンとしていた。その席に招待されていた席T・Kは、招待客の中で誰よりもつまらなそうな顔をしていた。しょうがないねー、とか言いつつ二次会に行ったのだが、そこでは爆発的に歌い、踊っていた。
ただ飲むだけではないというのが凄いのである。きっと天性のリズム感を備えているのだろう。どんな曲だろうとすぐにのる。(余興がなくてすこし荒れているのかな)と思っていたが、鬱憤を晴らすように踊りまくっていた。店の人は笑い転げて、彼だけが飲み代が免除された。