山本富士子と桃井かおりと連日あってしまった。-2

 

うちなー的沖縄

山本富士子と桃井かおりと連日あってしまった。-2

「あいっ、こんなところで何している」という感じだった。彼の仲間は三人いた。
もう一人の女性だった。あれっ、どこかで会っているのだが、ほんの少しだけ間があいて気付いた。桃井かおりさんだった。本当は以前に会っていたのではなく、映画館やブラウン管で一方的に「会って」いるだけだった。こういう錯覚はときどきある。高倉健が東映のやくざ路線で輝いていた頃、路で行き会った本物のやくざ屋さんが、「うぉっす」と挨拶をするらしいというのを何かで読んだか聴いたかしていた。三人とこちらの二人の五人で遊びに行き、そして夕食も一緒にということになった。テーブルの目の前に女優が坐っている。なんとも不思議な光景だ。娘もそのように思ったかもしれないが、単なるミーハーである父親ほどの緊張感はないみたいである。なにしろ前夜は天下の、「山本富士子」さんともあっており、芸能界には慣れていたのかもしれない。
銀幕やブラウン管の印象とはまったく同じであった。沖縄では「テーテー物事(むにー)」と言うが、つまり舌足らずのしゃべり方はそのままであった。ディナーであった。とういことは最後にデザートも出てくる。注文のアイスクリームが色とりどりに並んだ。味はそれぞれに違うみたいである。桃井さんが、「せっかくだから、交換して食べましょう」と提案し、スプーンごと回してきた。「えっ、これって間接キスでは」。
家に戻り、間接キスだったと報告したら、娘は違うという。自分が舐めて、それをお父さんが舐めたと主張していた。