アコークローとアコータロ―。

 

ういなー的沖縄

アコークローとアコータロ―。

「アコークロー」という店が最近になって那覇の国際通りにオープンした。この店の主が経営していた姪の店は、「缶詰ハウス」と称していた。泡盛とビールがあって、酒の肴は文字通り缶詰だけであった。鯖などの味味噌、水煮、それに蒲鉾やイカの缶詰などが無造作にカウンターに並べられていて、客がそれを指差せばチンで温めて出てくる仕掛けになっていた。
シンプルを絵に描いたような店だったが、そこへ顔を出す客もシンプルであった。そもそもオーナーシェフ(?)のIさんがシンプルそのものの方であった。沖縄を代表する新聞社の名物記者にして名物コラムニストであったが、トアエモアのように、あーる日突然、エイッとばかりに安住かと思われた記者の座を投げ捨てて飲み屋のマスターになっていた。今でもフリーライターという肩書は持っているはずである。客が少ない時にカウンターで原稿を書いたりする。そういうこともあってか、店内にはマスコミ関係者がいうでもとぐろを巻いていた。けっこうのファンを掴まえていたのだが、いつのまにか店のシャッターは降りっぱなしであった。
ある日、職場にIさんからの葉書が届いた。「このたび、「アコークロー」という店を閉店します」みたいな内容であった。以前の店よりも職場からは近い。これが酒飲みからすれば困ったことである。これまでの飲み方パターンは、職場近く→
桜坂→栄町→帰宅という順であったが、これで職場近く→アコークロー→桜坂→
栄町という具合に選択肢が増えてしまう。まぁ、それほど悪い話ではないけれどね