咲かせてみせます勝利の花をー2

 

うちなー的沖縄

咲かせてみせます勝利の花をー2

若い人が数多くと書いたが、それがいか程のものか、その一端を。沖縄島中部での闘牛を何度か見たことがある。そこでは、どちらかというと男中心で、それもやや年配者が多い。女性の観客はほとんど見受けられず、いたとしても飼主の家族くらいという印象を受けた。それが徳之島ともなると様相が一変する。

驚いたことに、どうも闘牛はデイトスポットになっているようなのだ。

「今日のデイトはドライブにしようか」

という彼。それに対して彼女は、「んーん、伊仙の全島若手花形闘牛大会がいいな」などとなる。

こんな具合だから、会場内は若夫婦と子ども、おじぃと孝行孫娘、おばぁと嫁などと数々の組み合わせで客席に坐っている。なかでも目を引くのは、女の子たちのグループである。もちろん、中学生くらいの少年たちが一塊になって熱狂的に応援している風景が多いのだが、女の子たちがついつい目立ってしまう。

試合は次々と展開されていくのだが、ときおり、携帯電話を片手にした女の子が会場内から飛び出して、「勝った、勝った、勝った」と誰かに報告をしていたりする。まるで、「前畑ガンバレ、ガンバレ、前畑勝った、勝った、勝った」状態なのだ。

一方、少年たちの活躍も目立ちはする。大応援団に囲まれて会場入りする際の、牛をひっぱる役目はたいていが高校生くらいである。一様にピアスをしていて、髪は闘牛焼きというよりは人工着色としての茶髪が多い。得意げに牛を引く姿は頼もしい限りだ。

会場周辺では、あいかわらず「ワイドー、ワイドー」の掛け声が響いている。宮古島においても「ワイドー」は用いられるのだが、ここでは牛に気合を入れている感じ。飼主宅から闘牛場までは専用の運搬車で運ばれてくるのだが、勝った後は、運搬車に若い親衛隊が乗り込んで、それこそ「ワイドー、ワイドー」の嵐である。荷台で飛び跳ねながらであるから、車全体がポッコンポッコンと上下に揺れていた。

会場では勝った牛に、幼い男たち数名が牛に乗せられて手踊りをしていた。この幼い子たちも自然と闘牛の血が植えつけられるのだろう。これこそ伝統という感じがした。

ところで、負けた牛はどうなるのだろうか。場合によっては再起不能なほど、手傷を負うことだってある。きっと、食べられてしまうのだろうな、と考えていたのだが違った。自分たちでは食べないという。心から愛しているのだ。