嵐を呼ぶ沖縄の結婚披露宴。

 

うちなー的沖縄

嵐を呼ぶ沖縄の結婚披露宴。

沖縄の披露宴について以前にも書いたことがあるし、他の機会でも何度か書いたことがある。今回も結婚披露宴について書くが、少し違う角度から見てみよう。

台風6号は日本列島の太平洋側に沿って北上し猛威を振るったが、続く台風7号も間髪いれずにやってきた。そもそもこの台風7号は妙な奴で、かなりの意思を持った台風であった。6号の軌跡をまったく同じようにたどるという、まるで犯人を尾行する刑事みたいな奴であった。普通の台風だと数日前から生暖かい風を吹かせ、人々の皮膚感覚に台風が近づいていることを知らせる。ところが7号は何の前触れもなく、夜這いでもするかのようにそーっと忍び寄ってきて、そしていきなり沖縄に襲いかかってきた。

4万5千5百世帯が転電に見舞われ、空や船の便にも多大な影響を与えた。風圧はいよいよ強まり、道を歩くのも困難を極めた。足は前へ出るのだが身体全体は進めない。タクシーに乗っていても底から持ち上げられるような振動に見舞われた。それでもある目的で外出をしなければならない事情があった。

「この度、私達はかねて婚約中のところきたる7月14日に結婚式を挙げることになりました」という案内状が届いた。職場の同僚同士の結婚披露宴であった。そしてその日、台風慣れしているはずの沖縄の人間でもかなり躊躇するような強風が吹いていた。しかし困ったもので、たとえ風が吹こうが嵐がやってこようが、いったん決まった日取りの変更は不可能であるらしい。会場であるホテルの都合もあるのだろうか。それとも花も嵐も踏み越えて結婚するのだという新郎新婦のみなぎる決意だったのか、とにもかくにも披露宴は嵐をついて決行されることになった。