報告します!本日も交通事故はゼロであります。

 

うちなー的沖縄

報告します!本日も交通事故はゼロであります。
警察の不祥事が続いている。最近の新聞には、何やら「隠秘」「隠蔽」「隠滅」などの字が踊っている。どうも「隠」がキーワードのようである。を
 実はボクが見聞きした警察官による「大不祥事」事件があった。具体的に記述するとバレてしまういそうなので、今回の「うちなー的沖縄」に限り、モザイクの部分を●★▲■などで表現するが、読者の皆さんはプライバシー保護の観点からくれぐれも擦ったりしないようにしてもらいたい。
 事件は、●★年前、県内の▲■島で起こった。
 ボクは一人で▲■島を旅行していた。そこで一人の単身赴任の駐在さんと知り合った。いつも一人で淋しくて、酒飲み相手を探しているのだという。それはそちらも暇を持て余しているので相手をすることにした。顔はあくまでもいかつく、怖そうではあるがなかなか話は面白い。普段だと絶対に聴くことのできない話が次から次に、まるで母の日か何かのかきいれどきの中華料理屋みたいに次々と笑えるメニューがテーブルに運ばれる。
「どうして自分が▲■島に飛ばされているかといえば、暴れているアメリカ兵を投げ飛ばして大怪我をさせたから」
「ふーん、投げ飛ばしただけですか。本当は殴ったんじゃないの」
「まぁまぁ、話はそれくらいで、ところで宮里さん、この▲■島では一年間に何件の交通事故があったと思いますか?」
「うーん、そーねー。4、5件くらいかな」
「ふふふ、とんでもない」
「じゃ、10件くらい」
「ブーッ!ゼロ、ゼロ、ゼロ件ですよ」
「ふーん、そうなの。島ではやっぱり事故ってないんだね」
「いや、本当は事故が、それも相当に大きな事故が一件あった。でもゼロ、不思議でしょう」
 本当に不思議な会話である。誰にも言わないでよ。ちょっとちょっと、誰にも言わないでよというのは、沖縄では少しは誰かに、あるいはある程度はみんなに言ってもいいよ、ということに置き換えられるのでは。イヤ、これは本当に秘密の話だから誰にも言わないでよ。相当に酔いが回ってきている。駐在さんは絶対に秘密だという。それなら言わなければいいのに、どうしても聴いてもらいたい様子。なんだから聴かないとこの夜は終わらないように思えた。わかった、わかった。絶対に誰にも言わないから。そう言いつつ、冷静な宮里千里刑事は、真綿で首を締めるようにして、徐々に犯人を自白へと追い込むのだった。
 誰にも言わないでよのエンドレスが続いて、彼はとんでもないことを自白した。
「一件の事故は、自分が起こした。酔っ払っていたものだから、ブロック塀にぶつかってしまってよー、がはは」
 何と唯一の事故とは、警察官が引き起こしたものであった。それも酔っぱらって。これって、まずいんじゃないですか。ボクは警察機構に喝を入れるようにして、ドローンと酔った目で弱々しくもにらみつけた。ここで警察機構の支部のその端っこに属する▲★警察官は、沖縄の人らしく必殺の言い訳をした。
「だからよー」
この「だからよー」は椎名誠あたりがするどく分析をしているように、沖縄独特の非を認めつつ、しかしながら責任からするっと抜けるような効用語である。これで総てが終わったのであった。
 もちろんのこと、目撃者は相当にいたはずである。誰も怪我をしていないし、いや、本人だけだし、もいうことで「事件」は闇から闇にではなく、なんとも沖縄的共同体の中で明るく消えたように思えてならない。