栄町に、ふかく、深く、静かに、沈む。

 

うちなー的沖縄

栄町に、ふかく、深く、静かに、沈む。

以前にも桜坂が取り上げられることがある。その際、桜坂ナビゲーターとして加わった。どこでどのように酒を飲むかという話であった。写真に写るのはまずいと思って、あえて後姿を撮ってもらったが、知ってる人にとっては一発で当てられてしまった。背中には人生の影が売っているものなのですね。

酒をのむにあたり、肝臓と相談しながら、あるいは肝臓に無理をしてもらいながら一生懸命に飲んでいる。最近は栄町というケースが増えている。

先日、わが家で新年会があって栄町市場へ買い出しに出かけた。戦後闇市をそのまま原型保存しているのではと思えるほど、市場はラビリンス状態である。細かい路地が縦横無尽に走り、ボーッとしてえいると思わぬ方向に出たりするものだから油断が出来ない。というものの、それは栄町市場体験が少ないだけであって、馴染み客からすればたいしたことではない。

可能な限り栄町市場で食材を求めてみようと考えた。するとどうだ、みごとに食材は完璧に揃っているではないか。今日のメイン料理は鶏飯だからまずは鶏肉、豚も牛の肉も当然として、田芋などの野菜類をはじめありとあらゆるものを買い求めることができたのだ。一か所にこれだけ揃っているとは。これは大きな収穫であった約30人分であるからかなりの量になる。それらの食材を持って歩くのがこれまた大変。ところがこの悩みは一発で解決した。

拠点があればいいのである。買っては置き、買っては置く場所があると助かるってもんだ。市場の中に行きつけの店があって、そこなら昼間から仕込みで開いているからそこを使わせてもらった。「栄町ナット」である。「やーぼーっ置いておこうなぁ」と次々と買ってきた品を置かせてもらった。

漁てだけでは足りなくて、リュックサックも動員していた。大量の食材となると運ぶのも一仕事となる。しかし、そこは栄町。専用ではないかと思えるような貨物車が周囲にはいる。タクシーではなく、あくまでも貨物車であるから、荷物が主役である。まず荷物を載せて、ついでにに荷物を正確に届けるための案内人として人が助手席に坐るという仕組みだ。栄町には市場も軽貨物車も一体感がある。これは嬉しい限りだ。「栄町ナット」だが、職場近くで飲んで、家路に向かう途中で桜坂あたりに横バイして、そして仕上げとしての栄町である。いわばクールダウンとしてのの使い方をしている。ここの沖縄そばが絶品である。沖縄の言葉で、「誰(たー)に言らんきよー」というのがある。「誰にも話を漏らすな、君だけに打ち明けるのだよ」という意味なのだが、この「誰にん言らんきよー」には一法則があってある程度はいってもいいよ、くらいの拘束力しかない。人によっては「誰にん言らんきよー」と言いつつ、本当のところは言って欲しいというニュアンスもあったりする不思議な言葉である。