沖縄の甲子園球児たちは、なぜ笑うのか。-2

 

うちなー的沖縄

沖縄の甲子園球児たちは、なぜ笑うのか。-2

なんだか、沖縄は特別だからねー、といわれているようでもあった。ところが、沖縄の実力は相当なものらしいとあらためて確信した次第。

なぜ、最近は沖縄のチームが強くなったのか。ここらあたりを探してみたい。昨年、月に向かって打て打て法や、左利き捕手・三塁手などで話題をさらった那覇高校野球部員の将来の就職希望は「公務員」や「職員」が多かった。一方常時プロ野球選手を輩出している関西の高校チームの職業希望は一様に「プロ野球」と紹介された。これでは、予備校的な存在である。詳しいデータが手許にあるわけではないが、沖縄は圧倒的に公立高校の出場率が高いはずである。これらあたりに一つの秘密が隠されているのかもしれない。

何が秘密化というと、ある意味では無欲で甲子園の土を踏んでいるということだ。無欲だとどうなるのか。笑うのである。とにかく笑うのである。

笑う姿に2種類ある。一つは作り笑いってやつ。緊張感を和らげるためにひたすらニコニコすること。たしかに監督がニコニコしているシーンをよくみかける。これは実際にはテレビカメラを意識している面もありそうだ。試合が終盤までもつれ込んでくると笑顔が消えて厳しい顔に戻っていったりする。おそらくはこの表情が本来の姿という感じがした。練習の時はかなり厳しいはずである。そうでないと甲子園にはなかなか出れないだろう。

那覇高校も沖縄尚学高校もそうであったが、宜野座高校はどうしてあんなに笑っていたのだろうか。地元沖縄の新聞にも、全国紙にも、そしてスポーツ新聞にも「笑顔」という文字が踊っていた。笑顔だけでベスト4まで勝ちすんでいた。考えてみたら不思議な仕草である。

沖縄には「恥かさー」と言う言葉がある。「恥ずかしがり屋」と言う意味、または「はにかみ屋」でもいいだろう。これが全国共通かどうかは知らぬが、沖縄の生徒たちは教師などから叱られたりすると、まずは笑う習慣があるのである。そういうこともあって、甲子園で失敗しても、満面の笑顔でペロッとベロをだしたりする。奥濱監督の指導は「自立」と「自律」だったと何かに書いてあった。けして「笑顔いっぱい」ではなかったが、あの笑みである。

野球に限らず、最近は指導者に恵まれているような感じがする。以前は逆に指導者不足が指摘されていた。沖縄はボクシング王国でもあるのだが、コーチたちはリングで闘っている選手に対して「クルセー、クルセー」と檄をとばしたらしいのである。これはかなり危ない言葉である。直訳すると「殺せ、殺せ」ののだ。つまり、「殴れ、殴れ」なのだ。それにしてもストレートパンチすぎる表現ではあるな。

ヒットを打ったりしたら率直に喜びを表現することは大切なことだ。大リーグで活躍する野茂やイチローの表情はイマイチわかりにくいのではないだろうか。その点、宜野座高校はわかりやすかった。

なぜ、笑うのかをもっとコーサツしてみる。これって、沖縄が甲子園ではいつでも負けていた歴史があったことも一因ではないか。一勝でもすればラッキーと思う過去であったのが、たとえ「21世紀枠」だろうが勝ち進んでいる。強くはなっているものの、勝てばラッキーという謙虚さだけが残っているのかも。