ちゃんぷるー

 

琉球の正月
Ryukyu   New  Year’s   Menu

歴史と風土が育てた料理

各地域、家庭により様々な違いの見られる正月料理。
沖縄には本土の正月料理のように特に決まったお節料理というものがないが、
伝統的な琉球料理のもてなし料理や縁起の良い料理を中心にアレンジして
盛りつけているのが見られる。本土の一般的正月料理とは食材も料理法の異なる
沖縄独特の新・正月料理の味を探る。

伝統的宮廷料理のおもてなし

宮廷料理と庶民料理

琉球料理、と聞いて想像するどんな料理だろうか。ラフテー、イナムドゥチ、ドゥルワカシ・・・など、少しでも名前が出てこれば、それはすでになかなかの沖縄通であると言ってよい。

琉球料理には、もともと琉球王朝時代の宮廷料理と、一般の庶民料理という二つの料理の流れがあり、宮廷料理は主に首里の上流階級や那覇の裕福な家の行事食として、あるいは最近ではいわゆる観光客向けの琉球料理店などでその献立を味わうことができる。

これに対して、一般庶民料理は、基本的に自給自足で、沖縄の自然条件や気候風土などを乗り切るための生活の知恵がふんだんに盛り込まれていた、その土地に根ざした料理と言え、現在でも多くの一般家庭の中で残されているのも多い。沖縄で正月というと、一昔前まで新正月と旧正月の両方を祝うところが多く、沖縄には2回も正月があるのかと、驚く観光客のいたというが、最近は一部の地域を除いて、ほとんどの家庭が新正月のみ祝うというように時代も変わりつつある。

また、正月料理に関しても本土のお節料理のように特に決まったものではなく地域によって献立は様々。一般的には、大晦日にソーキ汁を作り(昔は年末に豚を一頭殺したが、最近はほとんど見られない)年越しをし、正月には縁起の良い料理や豚肉料理を中心に東道盆(トゥンダ―ブン)や重箱、大皿などに盛りつけてだしている。

東道盆(トゥンダ―ブン)の優雅な盛りつけ

東道盆(トゥンダ―ブン)は、もとは中国から伝わったと言われ、琉球漆器の精緻な技巧が施された豪華な前菜入れで、その優雅な琉球王朝時代の華やかさが偲ばれる逸品である。
中に入れる料理は、色や形の美しいもの、冷めても味の変わらないものなどがととのえられ、代表的なものに、身の厚いクブシミ(甲いか)の切り身にいろいろな切込みを入れて、花のように赤く染めた「花いか」や、豚ロースに黒胡麻だれをまぶして蒸した「ミヌダル」(黒肉とも呼ばれている)、豚ロースの薄切りでごぼうを巻き込み、じっくり煮込んだ「豚肉ごぼう巻き」、からし菜のしぼり汁で色と香りをつけた緑色のかまぼこ「からし菜入りかまぼこ」、たまごを多めに入れた厚衣で揚げた「魚の天ぷら」、子孫繁栄を意味するめでたい食べ物として有名な、沖縄特産の田芋をから揚げにし、砂糖醤油でくぐらせた「田芋のから揚げ」などがあり、料理の品数は5品、7品、9品など、奇数と決まっている。これは東道盆(トゥンダ―ブン)に限らず、沖縄では祝料理の決まりごとなっている。
正月など、祝料理に使う材料は、豚肉を中心に、芋料理は子孫繁栄を、昆布、天ぷら、かまぼこなどは喜びを表すというように、それぞれめでたい時に食べる料理としての意味があり、行事の多い沖縄の家庭料理では、これらは代々受け継がれている。

東道盆

 

 

                      琉球  の
Ryukyu  New  Year’s  Menu
正月

現代風アレンジの沖縄正月料理

沖縄はその地理的、歴史的な関係から他の地方には見られない独自の文化を持っており、このことは料理に関する世界でも同じである。
特に、14世紀から琉球処分まで続いた中国との交流の深さや、その後の日本文による影響は、沖縄文化や料理に大きな足跡を残すことになった。
つまり琉球料理は、中国や日本の料理法を巧みに取り入れながらも、そのどちらかでもない、沖縄独特の気候風土にマッチした食文化を発展させてきたと言えるのだ。
ところで、沖縄を初めて訪れた観光客が、よく「沖縄で口に合わなかったもの」として「沖縄料理」もしくは「琉球料理」をあげることがある。もちろん、食の好みは人によって様々でいいのだが、「沖縄には、本土では見たこともない食べ物がある」と驚きの声をあげたりする人も少なくないらしい。例えば、豚肉。沖縄では正月料理としても欠かせない食材であるが、本土で豚を頭から足の先まで全て食べ尽くすというと、大抵の人はびっくりするようだ。しかし、沖縄では食生活は「豚一頭に始まり豚に終わる」と言われる程、豚一頭を頭や足の先はもちろん、血や肉に至るまできれいに食べ尽くすのである。
なかでも、「血イリチ―」といって豚の血の中にいろいろな具を入れて炒め煮する珍しい料理は、かつて正月前に豚を殺すならわしがあった頃には、保存のきかない血の部分はすぐに「血イリチ―」にして、神仏に供えたというものだ。
そう、こうした沖縄の個性的な料理はあまりに独特であるがゆえに「口に合わない」という人もいれば、また、この味の虜になってしまったあげく、遂には沖縄移住を決めてしまったという人もいるほど、あくの強いものなのだ。
ところで、沖縄には、一年を通して清明祭(シーミ―)や旧盆、麦穂祭(ウマチ―)など、数々の行事とそれに伴う行事料理というものがあるが、正月に関しましてはこれと言って決まった料理がないのはどういうことか。これは、沖縄の行事のほとんどが旧暦で行われているのに対して、正月は今ではほとんどの家庭が正月で行うことが多くなったことと、沖縄では昔から正月の行事の一つとして、生年祝(トゥシビー)という行事を盛大に祝う習慣があるため、正月料理は控えられたということがあるようだ。
現在の沖縄のお節料理(お節料理という言葉は通常はほとんど使わないが)というものがあるとすると、それは本土のお節料理とはだいぶ料理の内容も趣も違ったものだということになる。

とうふよう粥

その一つが「雑煮」である。沖縄の汁物は、豚出しとかつおだしを合わせた濃厚なだしに
豚肉、昆布、かまぼこ、野菜などをたくさん入れた具だくさんのものが一般的で、お吸い物のような汁物は少ない。最近家庭でもよく作られるようになった「沖縄風雑煮」とも言うべき雑煮は、やはりこの具だくさんの汁物(ソーキ汁などが多い)にどーんと餅が入った豪快そのものの料理といったところだろう。
この他、もともとは保存食として農家で豚を一頭殺した時に必ず作られていた「塩豚(スーチキ)」なども、道徳の風味が逆に酒の肴として好まれる。というのも、1月とはいえ日によってはクーラーをかけるような暖かい日もある沖縄では、やはり正月に生きものは傷みやすいので避け、揚げ物や煮物など特に保存のきく料理を中心にもてなしの食卓を飾る必要があるからだ。
もうすぐ正月。お節料理として型にはまったものがないだけに、沖縄の正月料理は商材の面白さを生かして、様々なアイデア料理を味わいを大切に受け継ぎながらも、南の島のおおら坂でもって、自由奔放に料理の幅を広げてきた沖縄の食卓。なにはともあれ、見てるだけじゃわからない、奥の深いものだ。

塩豚(スーチキ)の盛り合わせ
豚肉を塩漬けにした塩豚(スーチキ)は、独特の
風味を持っているので、酒の肴として好まれている。
程よい塩味の塩豚(スーチキ)に、粟と海ブドウ
(くびれづた)を添えた。

 

スーチキ

 

寿かんのデザート
住乳かんと紅芋かんで作った正月にピッタリの
デザート。大人用にはシロップに梅酒やワインなど
を少し落としても美味しく頂ける。

 

かんてん

 

彩サラダ
リーフレタスをベースに、ゴーヤー、ウッチンで
色をつけた耳皮(ミミガー)やアロエ、枸杞の実を
とりあわせたさっぱりサラダ。

 

もずくのアボカドカップ
アボカドを繰り抜いて器にし、もずくのアボカド
和えを盛りつけた洒落た一品。アボカドにシークワァ―
サーをふりかけ色どめしてある。上に赤ピーマンの松葉切り
を添えた。

アボカドもずく